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「気にするな。いつか元に戻してやる。絶対だ。だから、今だけは我慢してくれな」
そんな方法、知るわけもないのに、オレはユキネに約束した。ユキネもわかっているのだろう。笑顔で頷く。
そして、遂に時間がきてしまった――。
「約束だよ」
その言葉にオレが頷いた瞬間だった。パシャリと音をたて、ここまで足掻いたわりに呆気なくユキネは水へと変わり消えた。
まるで、水風船が割れるかのように。
俺は知っていた。
気付いてやれなかったのは俺の不甲斐なさだ。
足下に広がる水溜まりに俺の涙が混じって広がる。 あいつの願いは、この手で溶かして消してしまった。
完全に止んだ雨と顔を出した大陽。
ずぶ濡れの衣服を握り締め泣き叫ぶ。
何時間泣いていたのか、外からは雨の降る音。泣いている俺に呼応しているのか、いや、ただの偶然だろう。俺は無力だ。自然には勝てない。愛するものすら守れない。
後悔ばかりが責め立てていく。
いつまでも止まらない涙のせいか、まわりが暗い。雨の音すら聞こえず静かな空間。
止んだのか?
ふと、窓を見ると……。
「雪…………、雪!?」
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