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眼鏡の怪人物の名前は甘粕正巳。
トリプルオーの活動を快く思わない人物である。
そして向かいに座る婦人の名前は真砂紗綾。
表向きは高名なカルトッシュカードを用いる占師である。
その正体は第十使徒、ソロールホルスであった。
「毎回チェスというのも芸がありませんな。たまには違うゲームでもしてみませんか?」
「軍人将棋とか?」
「挟み将棋なんかは如何で?」
この二人、無駄話をしてるかの様で実は盤を通して様々な思考を交わしているのである。
正巳はトリプルオーの動きを、紗綾はそれに対するニドヘグの意向を駒で表している。
「ほう?オリジンの残り二体を駆り出しますか?」
「時弥を京都に向かわせました。八ツ橋が楽しみですわね。ああ、美味しい喫茶店もあるみたいで…名前は確か一葉といったかしら?」
「あそこのコーヒーは私も好みですな」
そして正巳は側にある鈴を鳴らした。
「父様、呼んだ?」
「ああ、忍…仁奈君に連絡を取ってくれないかね?ドイツに飛んで貰いたいんだ」
「…き、理紀さん?」
「あ、ああ、どうした、ジュリアンヌ?」
「一瞬でも意識を他に向けるのは命取りよ?」
「…アンタと出会った時の事とか色々思い出してしまった。フ…危険だよな。一番危ない人物が隣りにいるというのに…」
「それは酷いわよ?貴女のパートナーなのに」
「裏切り、寝返り、逃走が当たり前なアンタがよく言う…」
「だって死んだらお終いじゃない。生きる為ならなんだってするわよ」
そう言って胸を張るジュリアンヌ。
「それが賢い生き方なんだろうが…私はそこまで徹底出来ない。私には曲げられないモノがあるからな」
それを曲げてまで生きようとは思わない。
それが六波羅理紀の人間としての矜持であった。
「あの娘…一旦引いたと思ったら仲間を連れてきたわね」
ジュリアンヌに言われて目を向ける理紀。
そこには先程の少女と両手に斧を持った和服の女性がいた。
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