From Her To Eternity(2)

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「呵ぁぁぁぁぁっ!」 肩を負傷したイシュタルを庇うかの様に、二丁の板斧を持った和服姿の女性が理紀に襲いかかる。 「ちぃぃっ!」 皮一枚で板斧の攻撃を躱し、後退る理紀。 そして腰からアーミーナイフを抜く。 その背後でジュリアンヌも魔弾を発動させるべく念を込める。 だが―― 「させぬわっ!戯けっ!」 神速の斬撃が理紀のアーミーナイフを弾き飛ばし、そのままジュリアンヌへと突進する。 かつて幾多もの手錬を葬ってきた桜姫、咲耶の武は古今の猛将に引けを取らぬものであった。 「主らには恨みは無いが…愛する風音の為に斬るっ!」 一閃!一閃!また一閃! 一撃食らえば命を持っていかれる様な攻撃がジュリアンヌを襲う。 それを紙一重で躱すジュリアンヌもまた只者ではない。 「ちっ…何なのよ、この女?踏み込みに躊躇が無い…付け入る隙を見つけられないわ!」 躱しながらも反撃の機会を与えてもらえないジュリアンヌ。 得意の零距離魔弾撃もそれを発動する時さえ与えられないのでは用いる事が出来ない。 元々「オリジン」と呼ばれる三体のリビングドールの中では一番接近戦に向いてない彼女。 それでも並みの強者には十分通用する力を持っているのだが、目の前の女の様な化物相手ではそうもいかない。 パートナーの理紀に目をやると、応急処置をして復帰したイシュタルと刃を交わしている。 とても援軍は期待出来ない。 万事休す、か? ジュリアンヌの脳裏に撤退の二文字が浮かぶ。 逃げる事は彼女にとって恥ではない。 仲間を見捨てる事さえ恥とは思わない。 何よりも自分の命を大事にする女。 それがジュリアンヌという女。 (悪いわね、理紀…私の為に贄になってちょうだい) 理紀を犠牲に逃走を図ろうと決めたその時、高笑いと共に戦場に現われる少女。 「フハハハハッ!狙撃手も敵に懐に飛び込まれては無様なモノよのう!」 ジュリアンヌと咲耶の間に入る高慢な態度の少女。 それもその筈、彼女は生まれついての女王であるから。 そして鋸の様な刃が高速回転している剣を咲耶に向ける。 「選手交替じゃ!うぬらの様な下郎すら食い止められぬ腑甲斐なき輩に替わり、このアルラウネとヒースが相手になるわ!」
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