From Her To Eternity(1)

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「クー姉さん…僕達にそんな事が出来るかなあ?」 「大丈夫…ルーは私が守る。ユエと………………一応ムーの命を救う為に頑張る」 「…今の間、ムーが知ったら怒ると思うよ、クー姉さん」 そんなやり取りをしてるのは少女と見紛うばかりの美少年と、腰まで届く黒髪の端をリボンで縛り、眼鏡をかけた高身長のスレンダーな美女。 何でも美女の方は美少年の好みのキャラの「こすぷれ」をしてるらしい。 そのキャラと比べるには少し胸が足りないが。 美少年の名前はチェン・ルー・リィン。 そして美女の名前はマオ・クー・ロン。 とある島出身のカップルである。 彼等も身内の母親と妹が紅玉腫に罹り、飛川の下に来ていた。 「飛川博士、どうか母と妹の事を宜しくお願いします!僕達頑張りますから!」 「…宜しく頼む。二人に何かあったら…タダじゃおかない」 「わ、分かったわよ。貴方達の家族の面倒は私に任せなさい」 クーのメンチに怯えながらも、飛川は約束した。 流石の飛川もクーには異質の恐怖を感じた様だ。 二人が部屋から出ていった後、奥の部屋より二人の男性が現われた。 一人は白髪をオールバックにした神父服の男。 もう一人は西洋の騎士を思わせる様な、銀髪の美形の男。 彼等は「異世界」からの訪問者だった。 そしてミッションの協力者でもある。 「愚民を丸め込むのはどの世界でも大変な事だ…。苦労を察するよ、ミス天音」 神父が皮肉っぽい笑みを浮かべながら言う。 「出来ればミセス、と呼んで貰いたいですわ、アロイスさん」 「ああ、これは失礼。心配りが足りなかったですな」 微塵も失礼と思ってないくせに。 飛川は憮然とした表情で神父を見つめた。 アロイス・フォン・ヴァイスクロイツ。 とある世界の裏社会に君臨する二大組織の一つ、ヴァイスクロイツの腕利きの処刑人である。 そして彼は男色家としても有名であった。 「アロイスさんの追う人物…私とも些か因縁がありましてね。それがどうやら今回のミッションの目的地にいる様ですね。宝石の件共々首尾良くいくと良いのですが」 銀髪の美形が言う。 口調の柔らかさと物腰の低さが容姿の美しさと相俟って、女性の心を捕らえる。
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