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「クー姉さん…僕達にそんな事が出来るかなあ?」
「大丈夫…ルーは私が守る。ユエと………………一応ムーの命を救う為に頑張る」
「…今の間、ムーが知ったら怒ると思うよ、クー姉さん」
そんなやり取りをしてるのは少女と見紛うばかりの美少年と、腰まで届く黒髪の端をリボンで縛り、眼鏡をかけた高身長のスレンダーな美女。
何でも美女の方は美少年の好みのキャラの「こすぷれ」をしてるらしい。
そのキャラと比べるには少し胸が足りないが。
美少年の名前はチェン・ルー・リィン。
そして美女の名前はマオ・クー・ロン。
とある島出身のカップルである。
彼等も身内の母親と妹が紅玉腫に罹り、飛川の下に来ていた。
「飛川博士、どうか母と妹の事を宜しくお願いします!僕達頑張りますから!」
「…宜しく頼む。二人に何かあったら…タダじゃおかない」
「わ、分かったわよ。貴方達の家族の面倒は私に任せなさい」
クーのメンチに怯えながらも、飛川は約束した。
流石の飛川もクーには異質の恐怖を感じた様だ。
二人が部屋から出ていった後、奥の部屋より二人の男性が現われた。
一人は白髪をオールバックにした神父服の男。
もう一人は西洋の騎士を思わせる様な、銀髪の美形の男。
彼等は「異世界」からの訪問者だった。
そしてミッションの協力者でもある。
「愚民を丸め込むのはどの世界でも大変な事だ…。苦労を察するよ、ミス天音」
神父が皮肉っぽい笑みを浮かべながら言う。
「出来ればミセス、と呼んで貰いたいですわ、アロイスさん」
「ああ、これは失礼。心配りが足りなかったですな」
微塵も失礼と思ってないくせに。
飛川は憮然とした表情で神父を見つめた。
アロイス・フォン・ヴァイスクロイツ。
とある世界の裏社会に君臨する二大組織の一つ、ヴァイスクロイツの腕利きの処刑人である。
そして彼は男色家としても有名であった。
「アロイスさんの追う人物…私とも些か因縁がありましてね。それがどうやら今回のミッションの目的地にいる様ですね。宝石の件共々首尾良くいくと良いのですが」
銀髪の美形が言う。
口調の柔らかさと物腰の低さが容姿の美しさと相俟って、女性の心を捕らえる。
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