共生

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 午後十時。君を家に連れて来て一時間程経っていた。 「お腹空いてない?」 「空いてるに決まってる…昼から何も食べてないし」 ちょっと緊張が解けたのか、君はさっきから良く話す様になった。案外人なつっこいのかもしれない。もしくは状況対応能力が高いのか。腕は後ろで縛ったまんまだ。悪い気もするけど逃げられるの恐いからね。あ、足縛った方が良かったかな? 「あ、ちゃんとグラタン買ってあるからね」 「何、あんた私の好物まで知ってたの」 「君の事はなんでも知ってるよ?」 「ストーカーまでやってたの」  それは知らなかった、とつぶやきながら目を細めて僕の部屋を見回した。 「地味ね」 「シンプルって言ってよ」 …そして案外はっきりものを言える人なのかもしれない。  グラタンを冷凍庫から二個取り出すと電子レンジに二個とも入れて温めボタンを押した。まあ時間を多少増やしたら一気にやっても大丈夫だ…よね? ついでに水をやかんに入れて温めておこうとコンロに置く。 「お湯沸かすけど何飲みたい?」 「ストーカーのくせに私の好きな飲み物も知らないの?」 「むっ…」 「冗談。ミルクティーが良いな」 「わかった…」 僕としたことが好きな飲み物を調べ忘れるとは抜かったな…。これから一緒に居たらわかってくるから良いけどね、別に!
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