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「……確かに証拠はないかもしれないけど私の親も一晩連絡もナシに娘が帰って来なかったら心配して警察とか学校に連絡するわよ」
「そうだよね……」
自らを私、麻衣のストーカーだという男は困ったようにポリポリと肩よりちょっと上まで伸びた黒髪の頭を掻いた。彼の見た目は――…どこにでも居る大学生、といった感じで派手でも地味でもない当たり障りの無い姿をしている。世の中にたくさん居て、世の中の一部として混ざっている。こういう人間は犯罪者として見られないだろう。
そして犯罪者におあえつらむきな彼は真剣な顔で私にこう問う。
「どうすればいいと思う?」
知るか。お前はバカか。精一杯フユカイな顔をつくり、
「それ、私に聞くの? 協力するとでも?」
と言ったけれども相手は一枚上手だった。
「だって麻衣しか聞く人いないし」
「………ハァ」
前言撤回。コイツは大学(に通っていたら)で確実に浮いているだろう。モチロン悪い意味で。
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