独白

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 ピッ、ピッ…。  蛍光灯で白く照らされた店内にレジのバーコードを読み取る音が響く中僕は今、君を見ている。そして君も僕を見ている。僕は悟った。これが一目惚れなんだ、と。 状況は夜八時を過ぎたあたりの全国チェーンのコンビニのレジ。僕はそのコンビニの客で少し遅めの夕飯を買いに来ていて君はきっとこの時間帯のアルバイト。 眉下にきっちりと揃った前髪の下から円く黒目がちで無表情な瞳を僕に一瞬だけ向けていた。それだけの動作で僕は君に惹かれたんだ。君はそんな事も知らずに淡々と仕事をする。 「三点で580円になります」 「あっ……」  ぽーっとしていたらダメだ。変に思われる。 すぐに千円札と八十円を白い台に置く。蛍光灯の冷たい光を反射して清潔なイメージを店内全体的に与える白。 僕の心はきっとその逆だ。どうしても君を手に入れたい。僕のものにしたい。どうにかしてしまいたい、君のその淡々とした表情を歪ませたい。  君の青白い手がいやに記憶に残った。 ―※―  その後僕は雑誌の立ち読みするふりをして君のアルバイト時間が終わるまで待っていた。やっと終わった時には僕のお腹は空腹を通り越して何も感じなくなっていた。  読むふりをしていた雑誌がどんな内容だったかなんて覚えちゃいない。もしかすると雑誌なんかよりレジに立つ君を見ていたのかもしれないな。多分そうだ。だって君がレジで、特に男に接客するたびにイライラしてたから。ずっと見てたと思うと君の事つくづく好きなんだな、なんて思う。今日初めて会ったのにね。
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