非日常的な日常

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マルクは夢を見ていた。 夢のなかの彼は10歳くらい。 同じくらいの歳の少女と遊んでいた。 風になびくブロンドの髪。 大きな碧い瞳。 無邪気な微笑み……。 まだ楽しかった頃の思い出──。 しかし彼女の姿は、水面に映る風景のようにゆらゆらと揺れ、おぼろげになってしまった。 「あ……。」 手を伸ばしても、触れられない。 届かない。 「……ばい、ばい。」 少女は哀しそうに笑い、手を振る。 そして、消えてしまった。
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