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夢の中に出てきた少女とは4年程前に、離れ離れになってしまった。
ある日突然、彼女の一家の全員がいなくなってしまったのだ。
マルクの母親は、「引っ越しただけよ」と言っていたが……。
あの青ざめた母の横顔、その言葉は真実だとは思えなかった。
彼女たちが住んでいた家は、他と比べて豪華で、沢山の薔薇が咲いていたことを覚えている。
しかし、持ち主のいなくなったあの家は、どこか寂しそうだった。
彼女は今、どうしているのだろうか。
『ばい、ばい。』
それが彼女の最後の言葉。
あの哀しそうな笑みは、あの言葉は、いったい……。
彼は寝ながら涙を流していた。
知らず知らずのうちに。
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