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夢を見てから数日後、マルクはまたもやパンを盗んだ。
逃げ切って食べようとしたとき、どこかの金持ちの人々がこちらの方に歩いて来るのが見え、慌てていつもの路地裏に隠れた。
「あぶねぇあぶねぇ、見つかったら面倒なことになるからな……。」
茂みからこっそりと様子を見る。
「まったく……金持ちはホントに派手な服が好きだよな。」
そうぼやきながら見ていると、1人の少女と目が合った。
その瞬間、時が止まった気がした。
「嘘、だろ……?」
風になびくブロンドの髪。
大きな碧い瞳──。
「ローズッ!?」
紛れもなく、あの夢に見た思い出の少女……ローズマリーであった。
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