非日常的な日常

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時が経つにつれマルクは上手い盗みを覚え、それで空腹をなんとかしのいでいたのだ。幸いにも足も速かったから、捕まることもなかった。 少年は清らかなその心に、次々と罪を重ねる。いつしか抱いていた罪悪感も消え去った。罪の意識もわからなくなる程、マルクは生きることに必死だった。 盗まなければ、死ぬ――……。 その本能だけが、彼を盗みに駆り立てていたのだ。
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