冥王降臨

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ルピアの杖から放たれた龍は、その姿の全てを現して冥王を包み込む。 俺は包み込まれる前に、翼を羽ばたかせて後方に飛んだ。 炎龍が螺旋を描いて包み込んでも、冥王は動く気配すらない。 俺に斬られた事で、動くことが出来ないか………… 避ける必要性が全くないのか。 まあ、恐らくは後者だろうな。 あんな莫大な魔気を放つ奴が、こんなに簡単にやられるはずがない。 俺の予想だと、冥王の魔力は俺の混沌と同等か、それよりも上だ。 冥王がいた空間は炎龍に完全に包み込まれ、空気さえ全く残らない程の勢いで焼かれる。 その熱気は、少し離れた俺にもかなり伝わってきた。 そのせいなのか、不安のせいなのか、額から溢れ出す汗が止まらない。 負ける気はしないのに、この嫌な予感はなんなんだ…………。 炎龍の炎は弱まり、その姿を消しはじめた。
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