冥王降臨

24/25
前へ
/462ページ
次へ
相変わらず、自分でも感心するくらいのスピードだ。 十キロ以上離れてるのに、一瞬でたどり着く。 ほとんど瞬間移動だな。 「あれ……? 戦いに行ったんじゃないの?」 草むらに座り込んでいたルピアの前に着地すると、不思議そうな顔で見られた。 まあ、当然といえば当然なんだが。 「そうなんだけどよ。冥王がいなくってさ」 心地よい風が俺とルピアの間を通り抜け、髪を揺らす。 ここにいると、戦いなんて無いみたいに感じる。 平和だなって、感じてしまう。 「それで、魔気の揺れが無かったんだ」 なんだか、ルピアがおとなしい。 おしとやかな感じの女の子みたいだ。 「魔気の揺れって、こんな遠くまで伝わるのか?」 そう感じるのも、この平和で穏やかな空気のせいなんだろうか。
/462ページ

最初のコメントを投稿しよう!

3107人が本棚に入れています
本棚に追加