消えた仲間

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真っ赤な絨毯が敷かれた王宮の廊下。 壁にはいくつもの蝋燭がたててあり、全てに火が着いていた。 いつもと同じ風景。 それなのに、不安は消えてくれない。 「客間かな? それならこっち」 そう考えていると、ルピアに一度離した手を掴まれる。 ルピアはそのまま俺を引っ張って歩き出した。 廊下を歩いても、景色は何も変わらない。 ただ、蝋燭と扉が視界に現れては消え、現れては消えていくだけだ。 …………静かすぎる。 王宮に来て騒がしいと思ったことはないが、今日はあまりに静かだ。 人の気配が、まるでしない。 「ルピア、なんかおかしくないか?」 足を止め、ルピアに話しかける。 俺の手を握っていたルピアも、必然的に立ち止まった。 「陽一もそう思う? 全く人の気配がしないわ」
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