消えた仲間

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そして、左手を軽くルピアの頭に乗せた。 「大丈夫。あれは女王様じゃねえよ」 俺が叫んでも、頭に手を置いても無反応だったルピアは、素早く涙で濡れた顔を上げ俺を見る。 その目は、俺に期待しているような目だ。 偽物であることを、もう一度言ってほしいかのように。 「あれはこいつの悪戯。本物の女王様はいねえよ」 いねえのも問題なんだけど。 今は生きていればそれでいい。 後ろを親指で指してそう言った俺は、立ち上がって再び般若を睨む。 「なんでこんなことをした?」 俺を怯えさせるためか。 それともルピアを怯えさせるためか。 どんな理由であろうと、ルピアを泣かせたんだから許さねえ。 「数時間前に言っただろ。全ての事に意味なんてない」 言葉を聞くと同時に、俺は般若を殴り飛ばしていた。
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