死んだ大都市

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「お前、マジで大丈夫か?」 ルピアがわがままを言うとは思えない。 いや、わがままはよく言うが、場をわきまえずに言ったことはない。 だから心配だ。 世界中の生き物を冥界から取り戻さなきゃならないっていう重要な時、こんなことを言うなんて異常だ。 「行きたくない。あそこだけは無理」 あそこだけは無理? なにかトラウマでもあるんだろうか。 こんなに怯えているルピアを見るのはいつ以来だ。 「とりあえず座れ。……な?」 砂の上にあぐらをかき、前に座るよう諭す。 ルピアは震えながらもゆっくりと座った。 「それで、なにがあるんだ? ウボイレって場所には」 とりあえず、ルピアが苦手な物を考えてみる。 虫 幽霊 船 アリン くらいのはずだ。 「あそこは、"死んだ大都市"って言われてるの」 その時、ルピアが震えながらも何かを話しはじめた。
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