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卒業生、退場。
私は泣いていた。
なにより、親友のナミと別れるのが辛かった。
体育館から出るとすぐにナミが話しかけてきた。
「離ればなれになるけど、なおと私はずっと友達だよ。いつでも連絡して」
ナミの目にも涙が光っていた。
そんなナミに私は怒りをぶつけずにはいられなかった。
「どうしてS高なんて行くの!あんな頭いい学校、行きたくても行けないよ」
「ごめんね。お父さんがS高じゃなきゃ駄目って。ホントにごめんね」
「もう、ナミがいないと私、淋しいよ」
自分が行くB高を頭に思い描く。
別に他に友達はいるけど、心を許してるのはナミだけだ。
友達の問題だけじゃない。
このままなんとなく高校に通うこと自体、自分自身納得がいかない。
みんなが進学するから私も…という軽いノリで決めてしまった感がありありだ。
人生ってこんなものかな…
ひたすら謝るナミの横で、私はこれから始まるであろう退屈な高校生活に、ため息しか出なかった。
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