大きな海へ

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「お父さんが話あるんだって」 部屋のドアの向こうからお母さんの声が聞こえる。 「わかった。後で行く」 春休みの貴重なゴロゴロタイムを邪魔されて少し不機嫌になる。 「えい!」 読み飽きた雑誌をごみ箱めがけて、おもいっきり投げる。 雑誌はごみ箱の側面に当たり、ごみ箱が倒れて紙くずが散乱した。 ところで、話って何だろう。 高校生になるからお小遣い上げてくれるのかな。 お小遣い上がったら毎日、大好きなカスタード入りのたい焼きを食べよっと。 それとも入学祝に何か買ってくれるのかな。 そうだったらバイクがいいな。 行動範囲が広がるし、うん、そうしよう。 そんなこと考えてたら下がり気味だったテンションが、ぐーんと上がってくる。 よし、話聞きに行こう! 私は部屋のドアを、力一杯押し開けてリビングへ向かった。
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