大きな海へ

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お小遣いアップ~ マイバイクゲット~ と頭の中が花畑な私に父は真面目な顔で話しかけた。 「なお、お前将来何になりたいんや?」 といきなりどうでもいい質問。 「まだそーゆーの考えてない」 「将来のために勉強しっかりするように。勉強の次に遊びだということを忘れるな」 将来のことなんてどうでもいい、今この瞬間が一番大事なんだ。 父の言葉は靴の裏に貼り付いたチューイングガムのように不快で、忘れようとしてもずっと気になってしまう嫌な言葉であった。 今が一番大事なんだ。 だから私はナミと、もっといっしょにいたかった。 ナミにだけは心を許せて、いっしょにいて心の底から楽しいと思える。 将来のために、今が犠牲になるなんて考えられないわ。 結局、小遣いもバイクも手に入れることができず、残ったものは消化しきれない気持ちだけであった。 明日はB高の入学式。 行きたくないよ…
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