誰も信じないおとぎ話

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 中学校生活も後数日ともなると、なんだかこの三年間はあっという間だった気がしてきますね。  小学校の時だって、卒業間際になると小学六年間は短かった気がして、なんとなく教室を見渡し、この教室とも後二日だから四十八時間かー、とか思ったりします。  んで卒業式の二時間位を含めると五十時間か? などと考え、実際教室にいる時間を考えたら面倒臭くなってきたので友達と駄弁るという行為は誰にでもあるんじゃないでしょうか。  え? ない? あ、そうですか。  まぁそれが今俺がしている事でもあるんですけどね。 「それでさ、実際どうなんだろうな」 「え?」  駄弁っている途中一人でどーでもいい事を考えていた為、この目の前にいる友達Aの言った事を聞いていなかった。 「だから、魔法って本当にあると思うか?」 「ああ、その事ね……あったら凄くて、無かったらやっぱりって思うだけだろ」 「……俺はお前の意見を聞いてるんだけど」  ほう、友達Aの分際でそこまで食い付いてくる気ですか。 「なぁ友達A、俺の意見を聞いてどうするんだよ。 魔法があっても無くても、テレビで見せ物にする程度だろ? 俺達にしてみれば夢物語ですよー」  この会話、一年前にしていたら俺達は痛い奴らと思われていたでしょう。  だけど最近はどこもかしこもこの話題で持ちきりなのです。  数ヶ月前、国連が発表した魔法というモノの存在。  カメラ禁止の発表会では、実際に披露してみせたそうですが。何故カメラ禁止なのか。嘘なのではないか。そもそも魔法など存在する筈無いとの意見から、信じない人がほとんどでした。 「フッ……、考えが甘いぞ友達B」  自分の事を友達Aと言われた事の腹いせなのか、コイツ俺の事を友達Bなどといういかにもエキストラ役ですよ的な名前で呼びやがった。 「黙れ友達A、友達Aの分際で主人公の俺を名前で呼ばないとかアホだろ、なぁ友達A」 「お前こそ黙れ主人公、主人公なんだから俺を名前で呼ぶ位な主人公らしい心の広さを見せてみろ、え? 主人公」  …………… 「雅弥……」 「なんだ友達A」 「まだ言うか!?」  ああそうそう、俺の名前は要 雅弥(カナメ マサヤ)、さっきから言われている様に主人公です。  因みにさっきから俺が友達Aと呼んでいる奴はクラスメイト兼友達の桜樹 悠(サクラギ ユウ)、まぁ名前が付いた所で俺にとっての友達Aに違いは無いんですが。
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