誰も信じないおとぎ話

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........  とまぁその後の二三限目にあった卒業式の練習も終わり、今は下校中。  にしても中学の卒業式はすぐに終わって良いですね。小学生の時は正直うんざりしてたからね。 『皆で行った(誰か一人で)修学旅行!(ここ全員)、思い出に残った(誰か一人)運動会!(また全員で)』  なんだよアレ、修学旅行は皆でいかないと修学旅行じゃ無いだろ。え? アレか? お前は一人で修学旅行に行った事があるのか?  そして運動会、思い出に残ったのは運動会だけじゃ無いだろ。  さっき言った修学旅行も思い出に残ってるだろ。いや寧ろ修学旅行の方が思い出強いだろ。  って違う! 俺が言いたいのはそこじゃない!  なんで卒業式にそんな長ったらしい事を言わなければならないのか! そこだ!  ……なんだろう、急に自分がむなしくなってきた。 「あー!ひいらぎのカレーパンー!」  何故か自分がむなしくなって、ブルーのオーラを漂わせていると、目の前で野良犬にカレーパンを食われているランドセルを背負った女の子を発見。  そういえばこの先にパン屋があった様な。  可哀想に、でもねお嬢ちゃん、買い食いはいけないよ。買い食いは。 「うぐ……、ひいらぎのカレーパン……」  女の子はしばらくその場で静かに泣いていました。  周りの迷惑とかを考えているなら賢い子です。  と思いながらその女の子の隣を通り過ぎます。  ハッキリ言いますが、俺はお人好しじゃありません。  少し歩いていくと、そのパン屋が見えました。  下校中にここを通る時はいつも地獄。香ばしいパンの匂いが食欲をそそり、乏しい財布の中を更に乏しくしてまで買いたい衝動に駆られます。  そしてそれは今日も例外ではありません。  ……まぁ明日卒業だし、別に何か買っても大丈夫でしょう。  パン屋に入ると、香ばしい匂いは更に強くなります。  俺はウィンドウに展示されているメロンパンを一つ頼んだんですが、何故か店員は挙動不審。  おかしい、何回かこの店に入った事はありますが、こんな挙動不審な態度を取られる様な事をした覚えはありません。
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