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森林森楽の才覚は僅か半年で学校のほぼ全員に知れ渡っていた。
まず間違いなく不登校でもない限り、というか高校は義務教育でもないし一年の中頃から早くも不登校になったりサボり魔になる奴はいない気がするが、三幸ヶ丘高校一年生でアイツの名前と容姿、成績における武勇伝を知らない奴がいたらそれはそれでただ者じゃない。
負けじと知名度なら俺もそこそこあるけど、それは一般的な高校生の範囲。
教室の遠いクラスじゃだいぶ微妙だ。
森林森楽も俺のことは知らないだろう。
自慢ではないが俺の通う高校は公立ではかなり高いレベルにある。
てゆうか、本当に自慢になれない。
すでに俺は前回の期末で散々な結果を帰したばかりの面目ない立場なんだからな。
いわゆる落ちこぼれ(候補)のレッテルを自分に貼ってしまっている。
その分は夏休みにかなり頑張ったから、あとは二学期始めの実力テストで払拭すればいいだろ。
話を森林森楽に戻す。
俺が初めてアイツを見たのは入学式でのことだ。
新入生を代表してアイツはマイクの前に立ち、紙を広げて宣誓の言葉を述べた。
内容は格式張ったありきたりでつまらないもので、右耳から左耳へ脳を経由せずに流れた。
だから真面目じゃない俺は森林森楽を完全に忘れて然るべきだったろうが、アイツの存在感はそのときから際立っていた。
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