回想駄文

†

　
森林森楽は人から頼られる側の人間だ。

男女の隔たりはないし、たぶん学年どころか年齢の隔たりも本人にはない。
誰とでも喋り相談に乗るし、小粋な冗談も言えるらしい。

まあ全部伝え聞いたことで俺が見聞きしたわけではないが。
そのくらいアイツは人格者で有名人なのだ。

参った。
非の打ち所がなさ過ぎるだろ。

ぶっちゃけ入学式と体育祭以外まともに見たことはないけど、きっと俺みたいのが遠く及ばない菩薩のような慈悲深い人間なんだろう。
ああ、森楽さまって感じか？
俺が下手人ならアイツはさしずめお代官様の地位にあるくらいお近づきになれない間柄だ。
過ちや偶然以外接点は望めそうにない。

とはいえ交友関係は広くありたいのが高校での俺のモットー。
何かと便利そうだし、どうにか接点を持ってみたいものだが。

流石に下手人みたいな罪を犯したくないな……。