序章

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しばらくして、その人はまた問い掛ける声を聞いたんだ。 「それは何をしてるんだい?」 そして、その人はまた答えた。 それから、1日か、1ヶ月か、半年か、1年か、それとももっと長くか、そんな事が続いたんだ。 なんでそんなに尋ねたかって? その尋ねた相手は何も知らなかったからだよ。 だからその人が何かするたびに尋ねて、尋ねられるたびにその人が答えていったんだ。 それでついに、尋ねる声がしなくなった。 それ以上尋ねることがなくなったんだろうね。 そうしたら、今度はずっと答えてたその人が尋ねたんだよ。 「ところで」辺りを見回しながら言ったんだ。 「君はいつもどこにいるんだい?姿を見せてよ」って。 こうして人と精霊は初めて出会ったんだってさ。 ん?これは本当の話なのかって? さぁ。何しろ私もその場にいたわけではないからね。 ずっとずっと遥かにずっと昔の…… おっと、菓子パンの焼ける匂いがしてきたな。 少し休憩にしようか。 ーある魔法使いが語った話ー
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