第一章

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「エドワードと言ったか。試合に参加したいというのは本当にお前さんの方なのか?わしはてっきり……」 中年の男はその先の言葉を飲み込んだが、言わなくても言おうとしていたことがエドには分かった。 左斜め後ろへと向けられた男の視線、その先にはアルスがいる。 雰囲気やちょっとした所作だけで、その実力を見て取ったらしい。 普段なら自分が誉められたかのように、いやそれ以上に誇らしい気分になっているところだ。 親友のアルスはとても優れた腕を持っているのだが、自分からはまったく表に出そうとしない。 整った少年のような顔で身体の線も細いため、その内にある実力に気付く人もほとんどいない。 幼い頃から一緒に遊んで、今は共に旅をしているエドとしてはそのことで何度も歯がゆい思いをしている。 だが、今は事情が違う。 アルスをではなく、自分を見てもらわなければならない。
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