第一章

4/7

0人が本棚に入れています
本棚に追加
/10ページ
それもそのはず。 彼はラシャシエ国に仕える正規の騎士であり、そしてエドはそのラシャシエ国が催す(もよおす)という馬上槍試合に参加を申し込みに来たのだった。 「しかしなんでわざわざ、槍試合なんて物騒なものに参加したいと思ったんだ?お前さんはむしろ学者とか、魔法の…」 「僕は」声を張って、騎士の言葉を遮る。 「騎士になりたいんです」 「まぁ、その騎士とかいうものをやってる身としては、そう言ってもらえるのは嬉しいし、少年のような若者がいるのも頼もしい限りなんだが……」 中年の騎士はそんなことを呟きながらその傷だらけの腕を組んだ。 雲行きが怪しかった。 おそらく中年の騎士は言葉を探しているのだろう。どういえば傷つけずに断れるかという言葉を。 エドはちらりと視線を斜め後ろへ向けてみた。 アルスに自分の援護をしてくれないかと期待したのだが、親友でありそして剣の師でもある旅の相棒、そんな思いに気づかないのか黙って自分を見返してきただけだ。
/10ページ

最初のコメントを投稿しよう!

0人が本棚に入れています
本棚に追加