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彼女はいつも何処か遠くを見つめて、消えてしまいそうなほどのはかなさを携えいる。
彼女の容姿を一言、形容するならば、ただ純粋に“綺麗”だった。
けれど、本能的に彼女と僕達は“違う”のだと、誰もが分かっていた事だったんだ。
この時の僕には、それが理解出来ていなかったのかも知れない。
僕は平凡に人波に囲まれて、立ち回っているだけ。
突出するような何かを持っているわけじゃない。
だからかな。彼女は“異質”と呼ぶに相応しい存在だから、気になってしょうがなかったんだ。
注目を浴びる彼女は孤独に泣いている気がして……。
笑ってもいいよ。
僕が助けなければ、と密かに決意してた。
……違うな。
可哀相だと彼女を卑下して、正義の味方の僕が彼女を独り占めしたかっただけなのかもしれない。
その時にはもう、彼女に心奪われてしまった後だったんだ。
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