タンバリンを鳴らす男

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僕は 朝焼けの町を 歩いていた。 朝焼けに あかく染まる 大通りの彼方から シャンシャンと 音がする。 僕は涙目で 大通りの先をみると 遠くで 黄色い全身タイツを 着た七頭身の男が シャンシャンと タンバリンを 跳ねるように 鳴らして やってくる。 タンバリンを 鳴らす男は 風のように速く 僕の前を 駆け抜けていった。 僕の目に たまった涙は 弾けるように 霧になり 朝焼けに輝いた。 僕は 空の星をながめた。 その輝きが あかく染まり 消えていくまで。
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