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その時、再び艦内アナウンスが流れる。
<こちらに急接近する敵機を確認! 認識は…革命軍の隊長機! "ゲイボルグ"です!!>
「なんだとっ!!?」
戦闘は終わったと思っていた艦内に戦慄が走る。
「全速力で離脱しろ!!」
将校が部下に慌てて命じる。
「ダメです!! すぐに追いつかれます!!」
その軍人の言う通り、すぐに接近を知らせるアラートが響く。
「こちらにはもう出撃可能な"ドール"は、このファーストサンプルしかありません!!」
整備士の1人が叫ぶ。
「オプションパーツの装着は!?」
「間に合いません!!」
「くっ…仕方無い。少年を連れてこい」
将校が近くにいる兵士に命じる。
「…ここで失う訳にはいかないのだ」
「君は何をやっているんだい?」
青髪の研究者が士官室に入ると、拘束服に絡まっているレイが転がっていた。
「すいません…暇だったもので…つい」
いろいろと聞きたいことはあったが、今は戦闘が先だ。
「アナウンスは聞こえたね?」
「…ええ、僕が行くしかないんでしょ? 残ってる"ドール"は、"ファーストサンプル"しか無いですし」
レイは拘束服を脱いで立ち上がり、部屋を出る。
「できれば…これを最後にしてほしいもんです」
アラートが鳴る中、レイはファーストサンプルのある格納庫へ向かう。
向かっている途中、敵からの通信が艦内へ流れる。
<こちら、革命軍部隊長、ラント・レイサンクス! 火星軍の輸送艦に告ぐ!! そちらの"ドール"が全滅している事はわかっている。よって、ファーストサンプルとの一騎打ちを申し込む!!>
"ゲイボルグ"のパイロット、ラント・レイサンクスが、力強い口調でレイに宣戦布告をした。
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