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(随分律儀な事をするんだね…コロニーの人間って)
そう思いつつも、レイはどう戦うか考えていた。
こっちはゲームしかやったことの無い素人、しかも"ファーストサンプル"には武装がない。
それに比べ、向こうは名の知れた部隊の隊長、"ドール"も優れた性能を誇る"ゲイボルグ"だ。
普通に考えたらまず勝ち目は無いが、レイには勝算があった。
レイは、どんな高いレベルや制限でも、1対1の戦いでは一度も負けたことがなかった。
「いいかい? ゲイボルグは近接戦闘に特化した"ドール"なんだ。だから出来るだけ距離を取るんだよ?」
移動中に一通りの説明を受ける。
「…わかったよ」
とはいっても、武器が無いのにどうやって戦えばいいのか?
考えがまとまらない内に格納庫へ着く。
「急いで出ろ!! 少しでも逃亡の時間を稼ぐんだ!!」
着いて早々、将校に言われて、レイは"ドール"に乗り込んだ。
時間を稼ぐという事は、急がないと見捨てられる…むしろ元々見捨てられている様なものだ。
「死なない…まだ死ねないんだ、火星に行くまでは!! 行くぞ、アウェイクン!!」
プログラムを起動し、"ファーストサンプル"がゆっくりと動き出す。
周りの人が非難したのを確認した後、ハッチを開き、レイは再び星の海に飛び出した。
バーニアを噴かし、レイは待機している"ゲイボルグ"に接近する。
<ようやく来たようだな…待ちくたびれたぞ>
ゲイボルグは背部に装備しているビームジャベリンと、細身のビームサーベルを引き抜いた。
(ビーム兵器!? かすっただけで危険じゃないか!?)
こうなったら隙を突いて機動部を叩くしかない。
「やるしかない!!」
レイはペダルを強く踏み込み、一気に接近する。
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