第一章~終わりの始まり~

15/16
前へ
/16ページ
次へ
(随分律儀な事をするんだね…コロニーの人間って) そう思いつつも、レイはどう戦うか考えていた。 こっちはゲームしかやったことの無い素人、しかも"ファーストサンプル"には武装がない。 それに比べ、向こうは名の知れた部隊の隊長、"ドール"も優れた性能を誇る"ゲイボルグ"だ。 普通に考えたらまず勝ち目は無いが、レイには勝算があった。 レイは、どんな高いレベルや制限でも、1対1の戦いでは一度も負けたことがなかった。 「いいかい? ゲイボルグは近接戦闘に特化した"ドール"なんだ。だから出来るだけ距離を取るんだよ?」 移動中に一通りの説明を受ける。 「…わかったよ」 とはいっても、武器が無いのにどうやって戦えばいいのか? 考えがまとまらない内に格納庫へ着く。 「急いで出ろ!! 少しでも逃亡の時間を稼ぐんだ!!」 着いて早々、将校に言われて、レイは"ドール"に乗り込んだ。 時間を稼ぐという事は、急がないと見捨てられる…むしろ元々見捨てられている様なものだ。 「死なない…まだ死ねないんだ、火星に行くまでは!! 行くぞ、アウェイクン!!」 プログラムを起動し、"ファーストサンプル"がゆっくりと動き出す。 周りの人が非難したのを確認した後、ハッチを開き、レイは再び星の海に飛び出した。 バーニアを噴かし、レイは待機している"ゲイボルグ"に接近する。 <ようやく来たようだな…待ちくたびれたぞ> ゲイボルグは背部に装備しているビームジャベリンと、細身のビームサーベルを引き抜いた。 (ビーム兵器!? かすっただけで危険じゃないか!?) こうなったら隙を突いて機動部を叩くしかない。 「やるしかない!!」 レイはペダルを強く踏み込み、一気に接近する。
/16ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1人が本棚に入れています
本棚に追加