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「準備はええか?」
外から老人の声が聞こえてくる。
「もちろん!!」
足元に置いてあったヘルメットを被り、左右に設置されている、操縦桿代わりに備え付けられている半円形のパネルに手を置く。
「アウェイクン!!」
少年の声に反応して、プログラムが起動する。
"第一ステージ、スタート"
その音声と同時に、目の前に敵が現れ、戦闘が始まった。
"ミッションコンプリート、お疲れ様でした"
「ふぅ…まぁまぁだったな」
ヘルメットを脱ぎ、カプセルから出る。
「もうレベル上がらないんだっけ…残念」
「文句を言うでない。ほれ、遊びは終わりじゃ。火星見学に行くんぢゃ、自己紹介の練習をせい」
そう言うと、老人はカプセルの裏へ回り、機械をいじり始めた。
「ふふぅ…緊張するなぁ~」
緊張で胸を押さえながら、全身が映る鏡の前に立った。
「えっとマイネームイズ? レイ・シノノメ。ナイストゥーミィートゥ~…っよし完璧!!」
「ヘタな英語は使うでない!! 自分から田舎者と言っているようなものぢゃ!!」
自己紹介を聞いていたのか、機械の裏から老人が叫ぶ。
「うまくなればいいんでしょ? 大丈夫、火星に着くまでに1日近くあるんだから、それまでにはなんとかなるよ…ってヤバい!! そろそろ時間じゃないか!!」
壁に掛かった時計を見て、慌てて荷物をまとめる。
「なんじゃ? もうそんな時間か…では護送艦まで送ってやるかの」
「ありがとじっちゃん!!」
カプセルの近くに置いてあった自分専用のヘルメットを手に取り、地上へと上がるエレベーターへ急ぐ。
「これに遅れたら次いつ火星に行けるか分からないからな~! じっちゃん早く早く!!」
駆け足で向かいつつ、ゆっくりと歩いてくる老人を急かしながらエレベーターに乗る。
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