第一章~終わりの始まり~

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「それにしても、じっちゃんに火星の知り合いがいるなんて驚きだよ! しかも相当なお偉いさんなんでしょ?」 300メートルの地下から、地上まで一気にエレベーターで上がる。 「昔いろいろあったんじゃよ。それよりほれ、防塵対策をせんか」 エレベーター内に設置してある、マスクとスーツを着る。 着終わると同時に、エレベーターのドアが開き、二人は停めてあるトラックに乗り込む。 「でも寂しくなるなぁ~。少しの間でも、孤児院のみんなと離れ離れになるんだから」 エレベーターのドアの上、東雲孤児院と書いてある古びた鉄製の看板をを見ながら、レイがボソッと呟く。 「大したこと無いじゃろ!? もう16になるんじゃ…これ位辛抱せい」 そう言いながら、老人はキーを回してエンジンを掛け、車を発進させる。 地上は環境破壊の影響で風化が進んでおり、殆どが砂漠と化していた。 「ほれ、あそこに見えるじゃろ? あれが火星の宇宙戦艦じゃ。基本は運搬が目的で、戦艦という程の武装は整っておらんがの」 「あれが、火星の戦艦…。あれに乗って火星に行くのか」 レイの目に映ったのは、全長300メートル程あると思われる、紺色が基調の戦艦だった。 (縦にしたら孤児院に届くんじゃないか?) そんな事を考えていると、火星軍と思われる兵士に、車を止められる。 「シノノメ博士ですね? では誘導しますんで、その通りに進んで下さい」 兵士の誘導で、戦艦の下に到着した。 「着いたぞ」 「うん…なんか緊張してきた」 二人は車を降り、戦艦入り口まで歩く。 入り口前には、如何にも偉そうな軍人が数人立っていた。 「お久しぶりです、シノノメ博士。こちらが話にあった見学希望者のお子さんで?」
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