1人が本棚に入れています
本棚に追加
「それにしても、じっちゃんに火星の知り合いがいるなんて驚きだよ! しかも相当なお偉いさんなんでしょ?」
300メートルの地下から、地上まで一気にエレベーターで上がる。
「昔いろいろあったんじゃよ。それよりほれ、防塵対策をせんか」
エレベーター内に設置してある、マスクとスーツを着る。
着終わると同時に、エレベーターのドアが開き、二人は停めてあるトラックに乗り込む。
「でも寂しくなるなぁ~。少しの間でも、孤児院のみんなと離れ離れになるんだから」
エレベーターのドアの上、東雲孤児院と書いてある古びた鉄製の看板をを見ながら、レイがボソッと呟く。
「大したこと無いじゃろ!? もう16になるんじゃ…これ位辛抱せい」
そう言いながら、老人はキーを回してエンジンを掛け、車を発進させる。
地上は環境破壊の影響で風化が進んでおり、殆どが砂漠と化していた。
「ほれ、あそこに見えるじゃろ? あれが火星の宇宙戦艦じゃ。基本は運搬が目的で、戦艦という程の武装は整っておらんがの」
「あれが、火星の戦艦…。あれに乗って火星に行くのか」
レイの目に映ったのは、全長300メートル程あると思われる、紺色が基調の戦艦だった。
(縦にしたら孤児院に届くんじゃないか?)
そんな事を考えていると、火星軍と思われる兵士に、車を止められる。
「シノノメ博士ですね? では誘導しますんで、その通りに進んで下さい」
兵士の誘導で、戦艦の下に到着した。
「着いたぞ」
「うん…なんか緊張してきた」
二人は車を降り、戦艦入り口まで歩く。
入り口前には、如何にも偉そうな軍人が数人立っていた。
「お久しぶりです、シノノメ博士。こちらが話にあった見学希望者のお子さんで?」
最初のコメントを投稿しよう!