1人が本棚に入れています
本棚に追加
自分と同じで、軍人以外の視点で見た意見が聞きたかった。
青髪の研究者は、外の状況を見てため息を付いた。
「この位置から確認出来るだけで、相手の"ドール"は8機。最低でも2小隊…10機と言った所です。あれは近~中距離に特化している革命軍の先鋭部隊、"ドール"の"ボルグ"も、こちらの"ダガー"の性能とは比較にならないでしょう。この艦も武装と言えるのは、75ミリの自動照準の対空バルカンのみ…それなのに、取り付かれたら終わり。絶望的だね」
流石研究者という所か、この短時間でよく分析できている。
「何か方法は無いんですか!?」
当然だが、レイはこんな形で死ぬつもりは毛頭無い。
だがその時、最悪の事態を知らせるアナウンスが鳴り響く。
<"ドール"が全滅、"ドールが全滅!! 民間人は脱出ポットへ急いで下さい!! 繰り返します--">
「君も急いだ方がいい…捕虜という形にはなるが、命は保証されると思うよ」
青髪の研究者はそう言うと、リフトの方へと向かう。
「他の人はどうなるんですか?」
その背中を見て、引っ掛かるものがあり、最後に聞く。
「軍人だからね…この位覚悟は出来てるでしょう。あの無能な将校以外は…ね」
そう言って、リフトに乗って降りていく。
「…はぁ」
レイはふと思い出し、スーツの中の御守りを見る。
それは大昔にあったロケットと言われるペンダントだった。
その中には、小さな紙切れが挟まっていた。
その紙には、汚い字で一言。
"出来ることをやれ"と書いてあった。
「出来ることをやれ…か」
言葉に出してみると、自然にやるべき事がわかった気がした。
最初のコメントを投稿しよう!