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「じゃあ、二人で1本買って、半分私が飲むわ。あんたはその後で・・・・・・どう?」
私はリップクリームで潤う唇を少し開いてみせる。
男子ならば誰もが夢見る間接キスだ。この甘酸っぱいシチュエーションに落ちない男子はいない。
そして、やはり二ノ介も例外ではなかった。
「ま・・・まあ、妥当なところだろうな」
「じゃあ、五十円玉ちょうだい」
二ノ介は私に五十円玉を手渡し、私は自販機に硬貨を投入する。
「あ、でも、昨日ニンニク食べたから、残りが飲めるかしら?」
チャリーン
後ろから伸ばされた手が返却レバーを押し、硬貨が返却口へ戻る。
「あ!何するのよ!?」
「てめえ・・・最低だな。結局自分一人で飲むつもりか?」
「ニンニク味でも良ければ飲めばいいでしょ!たぶん飲めないはずだから、勿体ないから私が全部飲んであげるって言ってるのよ!」
「どんな惨めなシチュエーションだ!それは!?期待した缶からはニンニク臭、指をくわえて見ているだけで、結局全部飲まれちまうって!なんで高校生活ワースト1位の思い出作りに五十円を投資しなきゃならん!話になんねえ!」
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