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その私の袖を二ノ介が素早くクイクイと二回引いた。
一瞬だけ私の掌の中が燃えるように熱くなる。
「な、なに！？」
慌てて手を開くが、二枚の五十円玉に異常はない。
「な、なに！？何したのよ！？」
「これで、その百円は二倍になった」
「････は？」
意味が分からない。
「俺が袖を引くと、握っている物が二倍になる」
つまり、百円が二百円になったと言いたいらしい。だが、手の平には五十円玉が二枚乗っているだけだ。
「あんた･･･妄想？」
「いいから買ってみろ」
「･･････」
私は言われた通り硬貨を投入し、スポーツ飲料の販売ボタンを押す
ガタン！
出てきたのは１本。
百円を入れて１本が買えた。何の変哲もない光景だ。
「これが･･･」
どうしたのよ、そう続ける前に、私の肩越しに腕が伸ばされ、販売ボタンを押す。
ガタン！
もう１本出てきた。
「え！？」
見ると、いつもは全く気にしない当たり抽選のデジタル表示に全て７が揃っていた。つまり、百円で２本のスポーツ飲料が買えたことになる。
二百円分
百円の二倍
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