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「あっれー、俊哉くんも来てたんだ☆偶然~☆」
公平が、起きてるよ、と返事をして間もなく、シンが病室に入って来た。
「……あ~、うん、まぁな……」
……相手がこのシンだったからよかったものの、これが、例えば中尾だったりしたら、多分、今度こそ確実にバレていた。それ位、オレの態度はぎこちなかったのに、
「シン、久しぶり。元気か?」
公平は、焦る事も表情1つ変える事もなく、いつもと変わらない口調でシンに話し掛けている。
………何だよ。
「……あれ?シン、お前…」
そういえば、と、
公平が何かに気付いて、目の前のシンを改めて見た。
「……もしかして、何か、雰囲気変わった?」
そう言って、
公平が、シンの腕や胸をぺたぺた触る。……そんなのさえ、ちょっとだけ、ほんのちょっとだけ羨ましくなったりしたけど………
でも、だけど。
もしかしなくても、
シンの最近の“変化”には、
オレも気が付いていた。というより、中尾も、仁だって、多分そう思っているハズだ。
「…そう?そんな事ないと思うよ?オレ、いつも通りこーんなだし☆…あ、髪ちょこっと染めたからかな??」
なんて、
おちゃらけていつものように無邪気に笑うシン。
…だけど、その言葉自体、
既に前とは違う。
突然、
単独行動をするようになり、
突然、
髪の色を染めてたりして、
そしていつしか、
自分の事を“ボク”と言わなくなっていたシンは、
見た目も雰囲気も、
急激に大人っぽく、
そして男っぽくなっていた。
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