四章 願い

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「あっれー、俊哉くんも来てたんだ☆偶然~☆」 公平が、起きてるよ、と返事をして間もなく、シンが病室に入って来た。 「……あ~、うん、まぁな……」 ……相手がこのシンだったからよかったものの、これが、例えば中尾だったりしたら、多分、今度こそ確実にバレていた。それ位、オレの態度はぎこちなかったのに、 「シン、久しぶり。元気か?」 公平は、焦る事も表情1つ変える事もなく、いつもと変わらない口調でシンに話し掛けている。  ………何だよ。  「……あれ?シン、お前…」 そういえば、と、 公平が何かに気付いて、目の前のシンを改めて見た。 「……もしかして、何か、雰囲気変わった?」 そう言って、 公平が、シンの腕や胸をぺたぺた触る。……そんなのさえ、ちょっとだけ、ほんのちょっとだけ羨ましくなったりしたけど……… でも、だけど。 もしかしなくても、  シンの最近の“変化”には、 オレも気が付いていた。というより、中尾も、仁だって、多分そう思っているハズだ。  「…そう?そんな事ないと思うよ?オレ、いつも通りこーんなだし☆…あ、髪ちょこっと染めたからかな??」 なんて、 おちゃらけていつものように無邪気に笑うシン。 …だけど、その言葉自体、 既に前とは違う。 突然、 単独行動をするようになり、 突然、 髪の色を染めてたりして、 そしていつしか、 自分の事を“ボク”と言わなくなっていたシンは、 見た目も雰囲気も、 急激に大人っぽく、 そして男っぽくなっていた。
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