279人が本棚に入れています
本棚に追加
「………なぁ、シン」
何も今、ここで、
このタイミングで聞く事じゃないのかもしれないけど。
いい機会だから、と、オレはずばりシンに尋ねた。
「ん?何??」
アーモンド形の瞳がオレの方に向けられる。
「…お前さ、何で最近朝晩、仁と別々に行動してんの?つか………いつも1人でどこ行ってんの?」
オレの改まった口調に、
多分、今の今までこの事を知らなかった公平も、何事かと、オレとシンの顔を交互に見る。
………瞬間、
さっきまでの無邪気な表情が一変して、
それは、
今までに見た事のない冷ややかな表情を、シンはしていた。
「……そういうのって、何でもかんでも言わなきゃいけない?それって、義務?」
「………え?」
……シンの周りの空気が張り詰めていた。それは、触るだけで切れそうな程にピリピリしていて。
……正直、戸惑った。
「………あ~、何かヘンな空気になっちゃったから、オレここで退散すんね☆」
そう言うと、
シンはまたすぐに元の表情に戻って、公平に、じゃあまた来るね、
なんて笑顔で言った後、
オレの横をすり抜けて、
そそくさと病室を出て行った。
「………どうしたんだろうな、シンのヤツ」
公平が首をかしげて、
そして、心配そうにつぶやいた。
……………。
多分、
もし今、普通に動ける身体だったら、公平は、確実にシンを追い掛けていただろう。
…だからってワケじゃないけど、
代わりに、オレが追い掛けた。
最初のコメントを投稿しよう!