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…釈然としない何とも言えない気持ちを引き連れたまま公平のいる病室へ戻ると、
「…俊哉、シンのヤツどうだった……?」
ベッドから起こした上半身を少しだけ乗り出して、公平がオレに聞いてきた。
「………まぁ、何ともないっちゃなかったけど、でも…………」
―“野暮”ってゆーんだよ?…
……………。
…また、あの身震いするような表情を思い出しただけで、次の言葉に詰まっている自分がいた。
そんなオレの様子を見た公平が、
「………そっか、大丈夫ならいいんだけど…何か、様子がいつもと違ったからさ………」
そうつぶやいてうつむいた。その表情は、悲しそうな淋しそうな何とも言えないカオで………。
……突然、
何だか無性に腹が立ってきた。
…………何だよ、それ…
「……公平は、……シンの事が気になる?」
唐突な問いかけに、
えっ?と、
公平が、下げていた視線をオレの方に戻す。
「そりゃあ………アイツは、大事な友達だし、仲間だし………」
“ダイジナ”
その、いかにも特別、みたいなフレーズを、オレの事………
じゃない、オレ以外のヤツの事に公平が使ったのが、またムカついて、
「………オレの事は、大事じゃないのかよ…!」
そう言って、
公平に近付き、ヤツの顎を持ち上げて、オレはいつもより強引にキスした。
…………畜生!
シンも、コイツも、
何か、
すっげぇ、ムカつく………!!
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