四章 願い

14/65
前へ
/488ページ
次へ
……………。 ―オレは、お前の前から… ―いなくなるかもしれない人間だから… 病院からの帰り道、 オレは、公平が言った言葉を、 幾度となく胸の奥でリピートしていた。  アイツが、 あんな風に、 あんな事を言うなんて……。 やりきれなくてやりきれなくて やりきれなくてやりきれなくて、 やりきれなくて仕方なくて、 ……どうしたらいいのか、 分からなかった。  ……誰かの声が聞きたい。 ……誰かに聞いて欲しい。 そんな事を思いながら、 気が付くと、ちょうど学校の前を歩いていた。  ……ふと、 ダン ダン ダン………… …それは切ない程に懐かしい、 でも、決して忘れる事のない聞き覚えのある音がした。 バスケットボールの音だ…… 誰かが、 バスケットボールをつく音………。 見ると、 体育館の電気が点いていて、音は、そこから聞こえてきていて、 吸い寄せられるように、 オレは、 音のする方へと足を向けた。
/488ページ

最初のコメントを投稿しよう!

279人が本棚に入れています
本棚に追加