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「はい俊哉くん、半分こ☆」
………5分後、
オレは仁と、
何故か1本の焼きイモを半分ずつ、そして何故か体育館の2階のギャラリーで、ゴールリングを眺めながら食べていた。
………何だ、この光景。
「ごめんねぇ~、よく考えたらボク、財布も持たないで飛び出してっちゃったみたいで…でも、ズボンのポケットにちょっと小銭が入っていたから、あ、ラッキー☆1本だけ買える!って!日頃の行いがよかったのかなぁ~☆」
そう言ってあっけらかんと笑って、
自分のやらかした失敗なんて失敗とも思いません~って感じで、仁が焼きイモの片割れにかじりついた。……それにしても、お前はサ〇エさんかよ。
「…疲れた時って、甘いモノ食べたくならない?甘さが染みるよね……身体にも…心にもさ」
糖分補給しようよ、
そう言って仁はまた焼きイモをかじった。
…確かに、
仁がくれた半分の焼きイモは、その優しい甘さでオレの中を満たして、そして癒してくれているようで。
……短い間に本当、
“色々”な事がありすぎて。
…疲れてたんだな、オレ……。
「……なぁ、仁」
「何?俊哉くん」
「お前…シンの事、このままでいいのか?」
…それは、
よほどのきっかけがない限り、
聞くつもりのない事だった。
……でも、正に今がそのきっかけ、なんじゃないかと思う。
……勝手な解釈だけど。
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