四章 願い

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「………オレは、お前みたいには思えないよ……」 「……うん?」 「………そいつが今何を考えているのかって、何を望んでいるのかって、相手が思うのと同じように思って、同じように感じるのが、“分かち合う”事だってあるヤツが言ってて………」 「………」 仁は何も言わずに、 ただ、 隣にいてオレの話を聞いていた。  「……でも、オレがそれをやろうとすると、ただの子供じみた“独占欲”でしかなくなる………」 「…………」 「……なぁ、仁。相手が考えている事を、相手と同じように考えて、相手を誰より分かりたいと、知りたいと思うのは……傲慢でしかないのか?」 …………。 ……不思議な静寂が訪れた。 “そいつ”とか、“相手”とか、オレの話の中の不明瞭な対象に、果たして仁は誰を当てはめているのか……。気にならないと言えばウソになったけど、 でも、 何か話したかった。  「……傲慢なんかじゃないよ?だって……それだけ“好き”って事なんでしょ?」 仁が、そう言って笑う。  優しい優しい笑顔。 ……そうか、 こんなに自分の気持ちに正直になって話せたのは、  さっき食べたイモがすごく甘かったからだけじゃなくて、  相手が、 こいつだからなんだ。
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