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翌日。
肌を切られるような風に、
ついまた背中を丸めて、いつも通り登校して行くと、
「あ、俊哉くんおはよー」
ちょうど下駄箱の前で仁に会った。……2人共、目だけで、昨日はサンキュー、いいえこちらこそ、って、短い挨拶を交わした後、何気ない顔で他愛ない会話をしながら教室へと向かう。
そこに、
「はよーっす!!今日も元気か、お前ら~☆」
大体やっぱりなタイミングで、
後ろから中尾が走って来て、オレと仁の肩をばしっとたたいた。
「ってーよ、お前…毎朝同じ事聞かなくても元気だっつーの」
「マジか!!それは何よりだな~☆」
…って、そこ、
そんなに驚く事じゃねーだろ…。
「あっ!そーだ、オレ今日学校終わったらコウの所行こうと思うんだけど、お前らも来る??」
何気ない会話の途切れ目に、
中尾が思い出したようにオレと仁に向かって言った。
「うん、行く行く~☆俊哉くんも行くよね??」
すごく当たり前、
な、流れで、今度は仁がオレに振ってくる。
……確かに、
昨日あんな会話を交わした事で、オレの悩みや迷いごとは、少なからず仁に伝わったハズだ。
…けど、
まさかオレが話した“愛の告白”
まがいの、あの話の“対象”が、同じ仲間の中にいるだなんて事、
さすがに、仁でも思わなかったんかな………。
昨日、
ちょっとだけ、“もしかしたら、分かっていても聞かないでくれてる”…なんて、
思ったりもしたんだけどな……。
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