四章 願い

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それから、 教室に入って、 もう日課みたいになってる、ずいぶん長い間空いたままのアイツの席をちらりと見て、それで自分の席に着いて…………思い出した。 …今日は、この前の数学のテストの答案が返ってくる日だったんだっけ……。  あー…マジ最悪。 こんな気分がスッキリしない日に、 ますますスッキリしないモノなんか見たくねー…… 「マジか!!?今回のテストで赤点取ったら冬休みに追試なんて……オイラ、聞いてねぇぞ~っ!!!」 …オレと同じタイミングで、同じ度合いでショックを受けて大絶叫の中尾の声が、教室の後ろの方から聞こえてくる。よかった、仲間がいた……。 …そんなワケで、 しぶしぶ1限の数学の準備をしながら、ふと考える。 …今まで、ぶっちぎりでこのクラスの主席だった公平が不在って事は………。今回のトップは、あいつかあいつか、あとは、仁あたりかな……。 なんて。  オレと中尾、あと数名…以外のトップ候補の可能性を消去法で考えたりして。…別にウチの学校は進学校ってワケじゃないから、成績で、そこまでライバル視したりされたり、蹴落としたり蹴落とされたり…… なんて事はないんだけど。 ……そういや、 アイツが、いきなり抜き打ちのカテキョに来て教えてくれた時、あん時は、オレだってそこそこいい点数取れたんだよな………。 ………。 こんな時にまでアイツの事を思い出して、 それで、 途端にまた痛み出す胸の奥…。 …人好きになんのって、   痛ぇのな………。
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