四章 願い

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「だーかーら!たまたまだって!たまたまヤマかけてた所がテストに出ただけ~☆」 昼休み、 いつもの屋上で昼メシを食べながら、すかさず中尾に問い詰められた事に、シンはあっけらかんと笑って答えた。  「けどお前…そんなにそんなにヤマカンが全部的中するなんて…どんなかけ方したら100点満点なんか取れんだよ???」 そう言って中尾が、 …仁までもが、興味津々な顔でシンの方を見ている。 ……正直オレは、 テストで満点が取れたのどーだの なんて話には全く興味がなくて。 そんな3人を尻目に、 いつもの購買のやたら黄色いメロンパンをかじりながら、適当にケータイを構ったりしていた。 …………。 ……ケータイって、 話したいヤツと話したい時に、 いつでもどこでも話せる便利なツールのハズじゃないのか……?  なのにオレの場合、 アイツから、 電話が掛かってくるワケでも、メールが届くワケでもない。 …アイツは昔からケータイ自体が好きじゃなくて、持ってもないからメールはないとしても………電話くらい、掛けようと思えば、掛けられるのにな……オレの番号だって知ってるハズだし。 「………役に立たねー鉄クズ…」 …周りに、聞こえるか聞こえないか位の、本当小さな声で、1人だけでつぶやいたハズだったのに、 「電話、待ってんの?」 そう言って、 シンがオレの隣に座った。 「マーくんととしぽん、下の自販機にジュース買いに行ったよ」 聞いてもない事をわざわざ言いやがる……… 気が付けば、 オレはまた、シンと2人きりでいた。 
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