四章 願い

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「……あ、そ」 オレはシンの顔を見ずにぶっきらぼうにそう言って、ケータイのディスプレイにだけ引き続き視線を落とした。 ぶっちゃけ、何を見てるってワケでもなかったけど。 ……………。 ……何か、 オレの中で、今のシンはすっかり “苦手意識”の対象になりつつあった。昨日、あんな態度や言葉にモロ遭遇したからか……イヤ、それ以外にまず心当たりがない。 「……あれ??今日は何か無口なんだね…また何か聞かれるかと思ったのに」 シンがそう言ってオレの顔を覗き込む。  「……何でも知りたがるのは“野暮”だって言ったのはお前だろ」 ……根に持ってるワケじゃない。 あまりに衝撃的すぎたから鮮明に記憶に残っているだけだ。…………って、それを、“根に持つ”って言うのか? 「それもそっか☆」 それからシンは、ねぇそれより…と、明らかに、また意味深な笑みをこちらによこした。  「……ねぇ、俊哉くんにとっての“愛情”って………ナニ?」 「……………は?」 ―思考停止― 一体、今までの会話のどこのどの部分から繋がると、そんな質問が出て来るんだよ…………。
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