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「お父さんの会社の名前も…純は知ってるよね…。
きっと、私達が引っ越してもすぐに見つかってしまうと思う…」
私は俯き肩を落とした。
「その点、シェルターは被害者を隔離して保護する施設なので絶対に所在地がわかりません。
これは警察か都に問い合わせれば、すぐに紹介してくれると思います」
シェルター…。
「そこには葉月1人で行くことになるのかい?」
「それはその施設の判断になると思います。
葉月さんが消えたことで、居場所を聞き出そうとお母さんに今度は被害が加えられる可能性もあるので…それを強く訴えれば、お母さんも一緒にということになると思います」
「どうする? 葉月。
犯人が捕まるまで福岡に来るか、それともシェルターを利用するか…。
父さんとしては福岡で目の届く場所にいてくれた方が安心だが…」
「私が…」
「これは葉月さんに決めてもらった方が良いと思います。
葉月さんの心にも、この2年で純の心理的暴力が根付いています。
そしてそれによって葉月さんは、こんな目に合っているのに、植え付けられた罪悪感から、どこかで純をまだ庇っている…。
違う? 葉月ちゃん…」
「えっ…」
言葉が出ない…聡には敵わない…。
全部お見通しだ。
「そうなのか!? 葉月!?」
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