第一章【束縛】

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「なぁ…」 「ん~?」 不機嫌な彼…。 サッカー部の彼氏を待って帰宅するのが日課になっている。 大川 葉月(おおかわ はづき) 17歳。 高校3年の春。 「今日、廊下で話してたのって誰?」 廊下で…? 首を傾げて考える。 「誰かと話してたっけ?」 「眼鏡かけた男と話してた」 あぁ…だから今日は不機嫌なんだ。 「あれはクラスメートの土田君。 移動授業の時にペンケースを落として拾ってくれたの。 ただそれだけだよ?」 こんなことも全部説明しなくちゃいけない? 「葉月を見る目が普通じゃなかった」 繋ぐ手に痛いくらい力が入ってる。 「普通だよ? それに今日初めて話したし。 しかも土田君にはテニス部に彼女がいるって噂だから、純が心配するようなことは無いって!!」 「ふ~ん…」 納得できない顔で私の手を握っているのは… 神取 純 (かんどり じゅん) 私と同じく17歳。
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