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『慈母様!』
一人の者が慈母―アメノミナカヌシノカミを呼ぶ
ミナカヌシの頭に生えた小さな耳や尻尾がぴくりと反応した
「うん?」
白い長髪を揺らし緑の者に返事をした
彼は赤い髪をした者と今手合わせをしていたのか鎧姿でいる
「どうした?カミムスヒ」
緑の髪をし竜の翼と尾を生やした者―カミムスヒノカミは満面の笑みでミナカヌシに叫んだ
「新しい…新しい神が産まれました!」
それを聞いた瞬間ミナカヌシの顔がぱあっと明るくなる
「本当か!?」
「はい!東の丘にお産まれになられ今はトコタチとヒコヂカミが傍に―あれ?」
カミムスヒの目の前で子供のように笑っていたミナカヌシがいつの間にかいなくなっていた
まさか、とカミムスヒは周りを見渡す
どこにもミナカヌシの着ていた鎧が置かれた形跡はなかった
「ムスビカミ まさか慈母様」
「…鎧着てったまま駆け出しってったぜ」
にししと笑いながら赤い髪に燃えるような赤い羽根を持った者―タカミムスビノカミは答えた
カミムスヒはサーッと顔を青くすると「慈母様ー!」と叫びながら飛んで追いかけていった
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