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9・下宿先・茶の間
彼方の携帯がうるさいくらい鳴る
健一郎「彼方ー鳴ってる!」
彼方 「あ、はい」
由香里「何々?彼女彼女?」
彼方 「雅だ」
携帯を取り出る
彼方「え?」
10・学校・校門前
自転車で走る彼方
後から雅和がついてくる
夜の学校、
自転車を昇降口前に放り投げて彼方は詩音の名を叫ぶ
彼方「詩音!!しおーん!!」
走りながら息も上げて詩音の姿を探す
11・学校・屋上
自分で書いた楽譜を空へばら撒きながら、
詩音は飛び立つ
楽譜はゆっくり舞、
空へ届くことはなく、
堕ちていく
12・学校・昇降口
楽譜が昇降口にいた彼方のところまで飛んでくる
彼方「しおん?」
昇降口の脇
あまり使われない花壇のある地面に詩音は死んでいた
(死体は見せず、詩音の血で染まった赤い楽譜が散り舞っている)
頭から血を流す詩音を抱きかかえ、
ゆすり、名前を呼び続ける
彼方「詩音!!詩音!!詩音!!しおん!!」
雅和が彼方を止める
雅和「彼方!」
雅和の声に蹲り泣き叫ぶ彼方
彼方「俺が、俺があん時何か言ってやればよかったんだ!!
言えなくても、傍にいたらよかったんだよ!!
フルートだって吹かせてやれた!
空だって!!
どこへだって連れて行ってやれた!!
気づいてやれたら!
もっともっと早く詩音を…っ詩音を!!」
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