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弘樹「彼方達にこんなにも可哀想な思いをさせているのは謝るよ
ごめんね、こんなイケメンで。
でも大丈夫俺は彼方達も受け入れるよって」
自分の世界に酔いしれ、
振り向くと彼方と雅和は窓にもたれかかって外を見ていた
雅和は窓に寄りかかって、
彼方は肘を突いて窓の外を見ている
彼方「どーするよ。まじで」
雅和「潰すか。軽音部」
彼方「いーなーそれ」
弘樹「ちょっちょっとちょっと!
落ち着こうよ!
なくなったらアレだよ!
学校の全女の子が悲しむよ!」
彼方「ドンマイ」
弘樹「軽い!
その応援に愛がない!」
彼方の軽い応援に騒ぐ弘樹を置いておいて、
雅和は窓の外にいる詩音を見つける
雅和「おい彼方。
あれ、楽器ケースじゃないか?」
彼方「え!どれ?」
窓から体を乗り出す彼方と弘樹
詩音はフルートケースと数枚の楽譜を持ちながら特別棟と本館の間の中道を歩いていた
弘樹「あーやめとけやめとけ」
彼方「なんで」
彼方は弘樹に顔を向ける
弘樹「あいつだよ。噂の転校生」
雅和「あぁ、聞いたことはあるな」
彼方「転校生?」
彼方は雅和に顔を向ける
弘樹「知らないの?
彼方くーん。
牧田詩音。
2年の初めに転校してきた宇宙人だよ」
彼方「宇宙人ってなんだよ」
雅和「くだらない」
弘樹「雅は信じてないのかよ!」
雅和「当たり前だろ」
彼方「だからなんだよそれ!!」
弘樹と雅和を交互に見る彼方
弘樹は彼方の肩に寄りかかりながら、外の詩音を見る
弘樹「彼女が転校してきてから、
校庭によく解らない絵が描かれるようになったり、
授業中突然立ち上がったり黙り込んだり
毎日毎日屋上で何をする訳でもなく立ったままボーっとしてたり、
裸足でどこまでも歩いたり、
他にもいろいろあるんだけど」
目で追っていた詩音は木の周りをぐるぐる回ったと思うと、
地べたに寝転んでいた
弘樹「この俺のお声にもシカトだしー」
雅和「掛けたのか。お前」
弘樹「まぁいいじゃん!」
二人の話を聞いて詩音の姿をじっとみる彼方
弘樹「ぜってーあぁいう奴っていつか人殺すんだって怖いねー」
詩音はただじっと空を見ている
手元には手書きの楽譜をフルートケース
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